民泊新法の目的と旅館業法との違いは?

tokyoyakei

「民泊」が必要になった理由

民泊の需要

「民泊」についての議論は5年ほど前から始まったようです。反復継続して業として他人を建物に宿泊させるには旅館業法の許可が必要で、この許可がないのがいわゆる「違法民泊」というものです。

もともと日本政府は2020年に外国人観光客数の目標を2000万人に設定していましたが、予想よりも早く達成されたため、昨年(2018年)、2020年の目標を4000万人にすることを発表しました。
6年前に約1000万人だった訪日外国人が、一昨年は約2800万人と大幅に増加する中、宿泊施設が圧倒的に足りないわけです。

足りないということは、それだけの大きな需要があるということです。

空き家の有効活用と障壁の低さによる違法民泊の横行

また、供給面から見ても、必要性がありました。今、日本の空き家数がどんどん増えています。2013年の統計で、全国の住宅のうち13.5%が空き家になっているのです。
商店街や温泉街でも空き家があるのをよく見かけますよね? 少し寂しい気持ちになると思うのですが、やはりその街の雰囲気を損ないますし、治安の維持の面から見ても望ましくはありません。

旅館業法の無許可営業の罰金はいくらでしょうか?  最高で3万円でした(2018年の改正で100万円になりました)。

金沢では新幹線開通による観光客増と東京オリンピックを見込んでか、過剰ではないかと思われるほどホテルが建築中です。これは皆さん恐れているのが、観光客の数が落ち着きホテルがそれほど必要ないという日がそのうち来るのではないか、ということだと思います。
その点、今ある住宅を利用するのであれば投資が最小限で済みますので不安は少なくなります。

①大きな需要がある
②供給できる建物がたくさんある
③旅館業法の許可要件が厳しい
④旅館業法の罰則が小さい
⑤過剰供給での撤退に障壁が少ない
となれば、それなら違法でも空いている家に宿泊させよう、という人がたくさん出てきてしまいます。

旅館業法改正と住宅宿泊事業法制定

そのため、これらの違法民泊を適法なものにしてもらうように、これまでよりもハードルを下げて、その代わり、ちゃんと管理していこうということになったのです。
それが 今年の6月の旅館業法改正と住宅宿泊事業法の施行になるわけです。
違法な民泊がどこでやっているかわからない状態よりは、要件を下げてでも届出してもらうほうがいいだろうということですね。

外国人観光客が増えるからといって、ホテルをバンバン建てるよりも、今ある空き家を有効活用するほうが無駄が少ないし、空き家対策にもなるので、ちょうどいいんじゃないかということです。

旅館業法改正と民泊新法施行

2018年6月、旅館業法改正

旅館業法ですが、今回改正前に2016年4月の改正で、
①簡易宿所の居室床面積が33㎡以上必要だったものが 1人当たり3.3㎡以上(10人未満)になった。
②フロントを必ずしも設ける必要がなくなった(条例による)。
ということで今の住宅宿泊業法と同程度に緩和しています。

今回の改正では、これまで「ホテル営業」「旅館営業」「下宿営業」「簡易宿所営業」がありましたが、「旅館・ホテル営業」となり3種類に。

無許可営業の罰金上限が3万円から 100万円に大幅アップ。その他の違反も2万円から50万円になりました。これにより、適法な民泊へと促す流れを作っています。

暴力団排除も規定されました。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行

旅館業法によらずに、住宅を宿泊施設に使用することができるようになりました。
と言っても、誰でも空き家に人を泊められるとうわけではなく、一定のルールを守り、必要な届出をすることで、健全な民泊サービスを提供することができるようになったのです。

<要件等>
提供できるのは、生活の本拠として住んでいる・もしくは住む目的(入居募集中)である・生活の本拠ではないが別荘などで住んでいる建物。
台所・浴室・便所・洗面設備を備えていること。
営業日数は 年間最大180日まで。

<事業者は下記のような届出が必要です>
1.「住宅宿泊事業者」 → 都道府県知事等への届出
・・・金沢市は中核市なので金沢市長への届出、その他市町村は県知事へ届出
2.「住宅宿泊管理業者」 → 国土交通大臣の登録
3.「住宅宿泊仲介業者」 → 観光庁長官の登録

金沢市でも条例が施行

金沢市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例では、下記の地域は平日の営業ができません(宿泊日・翌日のいずれかが平日である場合は不可)。

<金沢市の条例で平日の宿泊が禁止される地域>
1.住居専用地域
2.第1種住居地域で床面積が3,000㎡超の場合
3.工業地域

住宅宿泊と簡易宿所の違いは?

旅館業法と住宅宿泊事業法による民泊

2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行され、住宅を宿泊所として使用することができるようになりました。

これまでも「民泊」と言われるものがありましたが、旅館業法に基づかない違法なものが多数ありました。
民泊新法の施行により、これらの違法な民泊にルールを当てはめて取り締まっていくと共に、空き家となっている多くの住宅の有効活用が図られていくことになります。

昨年の2月に大阪の民泊施設で起きた米国人による女性監禁殺人事件は衝撃的なものでした。
違法な民泊による不幸な事件がなくなることを祈ります。

 

住宅を宿泊所として使用する形態として、これまでも「 簡易宿所」というものがありました。
簡易宿所には、いわゆる民宿と呼ばれるものや、ゲストハウス、カプセルホテルなどが該当します。
これらはもちろん違法なものではなく、旅館業法に基づいた許可の一形態になります。

簡易宿所(旅館業法)と民泊新法の違い

では、その簡易宿所と民泊新法で定められる住宅宿泊事業とはどう違うのでしょうか?
下に簡単にまとめてみました(金沢市の場合)。

 簡易宿所(旅館業法)住宅宿泊事業(民泊新法)
届出・許可の別許可届出
登録免許税22,000円なし
営業日数制限なし180日(用途地域によっては60日程度)
開業可能な地域住居専用地域、工業地域、工業専用地域は不可
第一種住居地域は3,000㎡以下
住居専用地域、工業地域は平日不可
第一種住居地域は3,000㎡以下は平日不可
建築基準法新規建築でなくても建築確認済みの証明が必要新規建築でなければ不要
定期報告なし2か月ごとに金沢市に報告義務

いかがでしょうか。
民泊新法なら簡易宿所では開業できない地域でも開業できるメリットがありますが、日数制限が大きい点や定期報告が必要な点などのデメリットもありますので、どちらがいいかを選んでの申請になります。

定期報告とは

「定期報告」とは、民泊新法の届出の場合に義務付けられているもので、届出住宅ごとに偶数月の15日までに、
①人を宿泊させた日数
②宿泊者数
③延べ宿泊者数
④国籍別の宿泊者数の内訳を報告する必要があります。
この報告義務は家主不在型や居室数が5以上の場合に委託する「住宅宿泊管理者」が代行することができないので、住宅宿泊事業者が自ら行わなければなりません。

それぞれの申請件数はどれくらい?

2018年12月1日現在、金沢市の民泊新法による届出は3件、単純に比べられませんが、旅館業法の簡易宿所は昨年の4月から約50件ということで、簡易宿所のほうがまだ多いようです。
簡易宿所は一昨年1年でも約50件程度とのことです。
金沢以外の県内でも民泊新法による届出は11件ということになっています。

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